第9章 restart and redo.
●no side● 〜体育館裏〜
あたかも、先輩2人を試すかのような行動をとった黒子。
しかしそんなことせずとも、黒子は端から気付いていた。
誰よりも…黒子よりも。
藤堂のことを一番に考えているのは、後にも先にもリコと伊月だということに。
それは、自分と火神を体育館から連れ出した理由(わけ)を考えてみれば、一目瞭然だった。
リコと伊月のあの行動の真意…
それは「藤堂 天に会わせてほしい」と願う以前に、話の規模が大きくなりすぎるのを防ぐためだったこと。
これからの高校生活を、誠凛で送る藤堂のことを第一に考えての行動であったこと。
黒子はそれに気づいていたのだ。
・・・
でなければ黒子は、リコと伊月にこの話をしなかっただろう。
「ボクもそう思ってました。」
全てはリコと伊月が、信用に足りる人間であるということを。
その行動で、黒子に証明していた賜物であった。
「藤堂さんが元選手だったことは
知りませんでしたが」
「え?」
こうして黒子は、程遠くない自身の過去について、リコと伊月に打ち明けたのであった。
そこには、藤堂に関する確かな真実が潜んでいた。
一方、リコと伊月は、
「それ…って」
「どういう?」
黒子が口にした言葉の意味が分からず、茫然としている。
そんな2人に正しく理解してもらえるよう、黒子は続けた。
「色々あって、藤堂さんと部活について
話す機会があったんです。」