第9章 restart and redo.
●リコ side● 〜体育館〜
「カントク!
やっぱり見間違いじゃ無かったんだ!」
発覚した事実を前に、驚きで伊月はらしくもなく大声を上げた。
それでも真っ先にリコの方へと歩み寄ったのは、間違いなく理性によるものだった。
そして、その時見上げた伊月の顔が、嬉しそうに微笑んでいたことをリコは見逃さなかった。
一方で、そんな先輩2人の姿を見た黒子は、
「どうしたんですか?そんなに驚かれて」
不思議な思いに包まれながら、目の前の伊月とリコの顔を交互に見つめていた。
そして、そんな黒子の少し後方で、
「あ?オレと同じクラス?
んな奴いたか?」
と、興味なさげに呟く火神 大我の姿があった。
そして本人が口にした通り、黒子がクラスメイトであるという事実も、火神は今初めて知ったのであった。
余計にも「てかお前も同じクラスだったのかよ」と続けて口にするくらいだ。
火神からしてみれば、教室で一緒に過ごすことになる同級生のことであろうと、端から眼中にはなかったのであろう。
話を戻すと、これは「藤堂 天がいる“かも”」から始まった話だった。
しかし今は、「藤堂 天は本当に誠凛にいる」という事実だけが残った。
だとしてもだ…
それが分かったところで、本当の謎はまだ解けていない。
なぜ藤堂 天は、バスケをプレイできない環境に身を置いているのか。
それがリコと伊月が解き明かしたいと思った、一番の謎なのだ。