第9章 restart and redo.
●リコ side● 〜体育館〜
あくまでも秘密裏に…事を大きくしないように。
2人だけで解決へと進み始めたのは、全てを水面下で終わらせようとしたのは…
“ポテチちゃん”本人に対して最大限考慮するためには、今のこの形が最適であることが分かっていたからだ。
リコと伊月が互いを相談相手に選んだ理由も、上級生の中でこの2人が、適任者であるという見解が一致したためであった。
運よく他の2年生たちは、話に夢中になっているためかリコと伊月の動向には気づいていない。
だからリコは、同輩たちには感ずかれないよう、
「1年生、ちょっと待って…!」
声量に気を付けて1年生を呼び止めた。
リコの言葉に反応するように、帰り支度を終えようとしていた1年生が一斉に視線を向けた。
それを確認したリコは更に問いかける。
「この中に、藤堂 天さんと
クラスメイトの人って…いる?」
そのリコの問いかけに対して1年生は、
「藤堂…?」
「誰だ?お前知ってる?」
「いや…てか女子だよな?天って」
「藤堂?誰だよそいつ」
と口々に呟き始めた。
リコはそれを、しばらく傍観していた。
しかし…
いくら待っても、確信をつく発言を聞くことはなかった。
つまり、藤堂 天のことを知っている人間は、この中にはいないということだ。
単純に1年生がまだクラスメイト全員を覚えていない、と言う可能性も十分考えられる。
そしてそれと同等…もしくはより高い確率で。
藤堂 天が、端からいない可能性も出てきたのだ。
しかし、結論づけてしまうのも、追及の歩みを止めるのもまだ早いだろう。
そう思ったリコは、
「伊月君、残念だけど今日は」
「現段階で明らかには出来ないけれど、決して諦めたわけではない」という意思を、伊月に示そうとした。
その時だった、
?「あの」
「え?」