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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第9章 restart and redo.


●リコ side● 〜体育館〜


「だから、なんで彼女が誠凛に入ったのかが、
 気になってしょうがないんだ…」

「うん、分かってる」


この時、伊月とリコは同じ思惑と興味の元。
行動を共にすることを、静かに2人だけで決めたのだった。


「それに関しては、私も調べるって決めたから」

「そうか…」


同時に、伊月は思い出した。
リコと自分は、悩みや相談を打ち明けられない程、浅い間柄ではないと言うことを。


そして、リコの性格を知りながらを信用しきれなかった過去の自分を恨みながら、


「そうだよな?
 カントクが気にならないわけないもんな」


伊月は安心したようにそっと微笑んだ。


それに応えるように微笑み返したリコ。
そして、体育館を後にしようと準備を進める1年たちの方へ脚を向ける。


リコと伊月は一歩一歩…でも確実に。
真相へと静かに、歩を進め始めた。


その一方、


「それで、コガが火神に首根っこ掴まれて
 俺らのとこに来たんだけどよ」

「んな?!
 それは別に言わなくてよくない?!」


リコと伊月を除く他の2年生たちは、今朝の出来事に関してまだ駄弁っていた。


「へ〜、そんなことがあったのか。
 それよりもコガ。
 お前ポテチちゃんに俺のこと
 “細目ハッピー野郎”とか吹き込んだな?」

「なんだよ不満?
 オレの完璧なネーミングセンス」


時折ふざけ合っているためか、リコと伊月の変化には気付きもしない。


2人はそんな同輩たちの輪を置き去りに…


「1年生、ちょっと待って…!」


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