第9章 restart and redo.
●リコ side● 〜体育館〜
?「なぁ、カントク」
「ん?」
そこには、
「なに?伊月君」
2年生の伊月 俊の姿があった。
ところが、
「いや、あのさ…」
自分から声をかけておいて、伊月は歯切れ悪く喋り始めた。
「コガの肩を持つわけじゃないんだけど。
正直、俺も気になるんだ…」
リコは伊月のそんな様子から、「まだ踏ん切りがついていないんだ」と察した。
それは、今から打ち明けようとしていることに他ならない。
伊月もリコ同様、その疑念には立ち入ってはならないような気がしていた。
追及すること自体が、過ちなのではないかと。
それでもリコは、自らその疑念へと進み始めていた。
足踏みをする伊月を前に、自身の興味とわがままに忠実であろうとした。
“毒を食らわば皿まで”。
そしてバスケ部は、いわば“運命共同体”。
この言葉を持ってした時、リコは伊月の手を引いて、共に真相まで走り抜けようと決めたのであった。
答えはすぐ傍で待っていることに賭けて、リコは先陣を切ったのであった。
「藤堂 天さんのこと?」
“ポテチちゃん”の、真の正体の追及を。