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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第9章 restart and redo.


●リコ side● 〜体育館〜


既に1年過ごしたはずの体育館に、今日は見慣れない顔ばかりが揃った。
たったそれだけのことでも、相田 リコは新鮮な気持ちで包まれていた。


そして、同時に焦っていた。


まだ“仮入部”という段階で、今朝バスケ部のブースにやって来た新入生はわずか10名。


いま体育館に集った新入生のうち、何人が所属まで繋がるか…
不安を抱きながら、練習初日を監督として何とか乗り切った。


「明日になれば、出来ることも多少増えるはずだ」と信じて。


“新体制”へと歩み始めたバスケ部の、記念すべき2日目はどうなるのか…


リコの頭の中ではすでに、ロード(外周)もゲーム(試合)もありの明日の練習スケジュールが組まれ始めていた。


その一方で。
焦る気持ちを抱きながら、同時にリコは全く別の感情も抱いていた。


そして体育館には、その感情の正体を体現している人物がいた。


リコが向けた視線の先…
そこには体育館を後にしようと、出口へ向かう部員と新入生の背中。


…よりも更に向こう。

  ・・
皆がそこに向かう中。
もしくは、向かう準備をする中。

          ・・
その人物は、今まさにそこから体育館の外を見つめていた。


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