第7章 窓際で出逢い
●no side● 〜1年B組〜
冷静でいるように装うも、天は内心焦っていた。
なぜなら、向けられる質問によっては、天の上京の目的に大きく関わってくるからだ。
天が今一番、疑われて困ること…
それは、天が黒子の素性を知っていたのと同じように。
天の正体も、黒子にバレてしまっていることだ。
それが本当だとしたら、途轍もなく面倒なことになってしまった。
まさか、入学早々こんなことになろうとは、天も想定していなかった。
天が最初の時点で、黒子に真実を告げなかった理由も、まさにそこにある。
「自分は黒子の素性を知っている」ということを教えれば、次は必ず理由(わけ)を問われる。
何の関係性もないのに、一個人のことを詳しく知っている方がおかしな話だ。
結果、天が過去にバスケ関係者であったこと。
ないしは、プレイヤーであったことを、暴露する羽目になる。
そうなってしまっては、他でもない天自身の首を絞めることになるのだ。
天の素性が知られたら、それこそ本末転倒。
わざわざ誠凛高校に入学した意味がなくなってしまうのだ。
あえてバスケと縁のなさそうな高校を選んだというのに。
未だ頬杖をついて、頭を悩ませる天が。
そこまで考えた時…
ふと、別の考えが頭を過ったのだ。
大前提として天は、バスケと縁のなさそうな誠凛高校を、あえて選んで入学した。
理由はもちろん、バスケをプレイしたり、バスケに関わる余地さえ与えないためであった。
全てはバスケを、己から遠ざけるため…
たかが高校入学において、それ程手の込んだことするのは自分くらいだと。
天は思っていた。
しかし…
そうでなかったのなら?
バスケを自ら遠ざけるために、誠凛高校に入学した生徒が。
自分以外にもいるとしたら?
それが例えば…
黒子 テツヤであるならば。