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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第3章 Reset. And...


●藤堂 天● 〜コンビニ〜


あぁ〜、なんかな〜


良いとも悪いとも言えない。
ビミョーな朝になってしまった。


結局あの後、イヤホン取りに家に戻っちゃったし。
つかポケット弄ってもあるわけねぇーよな?
制服新しいんだから。


早めに家を出て助かったけど、その代償に上がったモチベが効果なし。
プラマイゼロどころかむしろ大損害。


あと、戻った時に気付いた。
部屋の暖房消すの忘れてた。
危うく留守中に金銭的にも大赤字になるところだった。


イヤホンから、ローテンポの哀愁溢れる曲が流れてくる。
今はアップテンポのポップ系は聴く気になれない。
現実と理想のギャップで、今なら間違いなく自分がイヤになる。


『ふっ、ふぁ〜〜〜…』


ポカポカ陽気にあくびが出る。
間抜けヅラのまま、近くのコンビニの自動ドアをくぐった。


「いらっしゃいませ〜」


ちょっと気になった。
コンビニって24時間営業だけど。
朝番の人って、何時までにここに来ればいいんだ?
出社するために、毎日何時に起きて、何時間睡眠なんだろう。
あの店員さんは社会人?
大学生の可能性は流石にないか。
朝早くからお勤めご苦労様です。


そんな当たり障りのないことを考えながら、朝ごはん、昼ごはんを見る前に。
私はとあるコーナーに向かい、ラインナップに目を光らせる。


『おっ、これこれ』


目的のものを見つけた私は、すぐに手を伸ばし掴み上げる。


ハイチュウいちご味。
ハイチュウブドウ味。
ハイチュウりんご味。
ハイチュウモモ味。こいつはレア物だ。


『ラッキー』


こうしてハイチュウをひたすら集める。
他人に見られていないことは確認してるけど、ニヤニヤしないよう一応気をつけている。
真面目な話、結構頑張らないとすぐニヤける。


「なんでハイチュウばっかり?」と、よく聞かれた。
不思議に思うのは当然のことだと思う。
私ですら、いつからこうだったか忘れてしまった。
別に、普段からハイチュウ一択というわけではない。
他のお菓子も食べる。


けれど、他のお菓子に手を出しても。
いくら美味しいものに出逢おうとも。
いつもこれに戻ってくる。
理由は沢山ある。
手軽で、美味しくて、基本どこにでもある。


そしていつの間にか。
理由がなくてもハイチュウに手が伸びるようになっていた。


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