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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第3章 Reset. And...


●藤堂 天● 〜コンビニ〜


手に集まった、色とりどりの包装のハイチュウを見ながら思う。


これがあると私は頑張れる。
辛い時も。苦しい時も。しんどい時も。
もちろん、なんでもない時でも。
これを食べると、どんなことも「大したことない」って思えてしまう。
まぁ、カッコつけないで言うと、単に甘いものに目がないってだけだ。


こうしてハイチュウを前にウフフになっていた。
そんな時…


ぎゅるるるぅぅぅ〜という音が、私を震源として大規模に周囲の空気を揺らした。
何の音なのかは、説明せずとも分かるだろう。


予告なしで来られたため、私も驚いた。
そして徐々に、羞恥という余韻(震)が私を襲う。
二次被害を超えて、一層のこと大事故だ。


近くにいたサラリーマンっぽい人が、シーチキンおにぎりに伸ばした手を止めて、視線をこちらに向けているのが見えた。
「結構遠いけど、あそこまで聞こえていたのか」、と思った瞬間、顔に熱が集中した。


ハイチュウの力で少しは調子が戻ってきたと思ったが。
アップテンポの曲はまだ聞けそうにない。
ローテンポの曲に慰められたい。今すぐに。


理性とは裏腹に、私の本能が
「何満足してるんだ。エサより飯よこせ」、
と訴えてきたように思えた。
いや、甘味か旨味かの違いでどのみち本能だった。


『…分かりましたよ。飯な。』


プレイヤーを操作して曲を選んだ私は、再生を合図にお菓子コーナーを離れた。


どんな曲を選んだかは…


だいたい想像がつくだろ?


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