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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第7章 窓際で出逢い


●no side● 〜1年B組〜


「はじめまして。
 ボク、隣の席の黒子 テツヤです」


黒子が先手を切って、遅れてしまった挨拶をした後…


?「隣の…?!」


女子生徒が驚いた様子で、そう聞き返してきた理由は、


「はい」

?「あぁ、だから起こしてくれたのか…」


ただ、新事実に驚いただけなのだと知った。


?「黒子くん…ね?」


そう言うと女子生徒は、少しバツが悪そうに微笑んだ。


黒子はその様子に、少し引っ掛かるものがあった。
しかし、黒子の中で芽生え始めていた疑念は、


?「はじめまして」


女子生徒のその返答一つで、


?「藤堂 天です」


掻き消されてしまった。


「藤堂さん、ですか」

『うん』


女子生徒の名前は、藤堂 天。


やっと名前が聞けた。


『もう既にお世話になっちゃったけど、
 これからよろしく』


そう言いながら、自分に向かって微かに笑みを浮かべる、藤堂と言う名の少女。


「はい、こちらこそ
 よろしくお願いします」


例え、こんな時でも。
凛々しいその顔立ちでも。


その右頬に、跡があるのは変わりなくて。
そしてその事実は、まだ黒子しか知り得ない。


同じ高校一年生で。
人が入り乱れる中、互いにたまたま巡り合った。


黒子と藤堂は、同じ時を刻む生身の人間。
今日この時を、共に生きている。


だから黒子は確信した。


「きっとボクらは、良い友だちになれる」と。


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