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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第7章 窓際で出逢い


●no side● 〜1年B組〜


女子生徒は、確かに黒子を視認していた。


つまりその言葉は、黒子が見えなかったからではなく。
むしろ見えていたからこそ、口にされた言葉なのだと、黒子には分かった。


なんで…とは、どう言う意味なのか。
初対面の相手に使われるのは、黒子にとって初めての経験だったのかもしれない。


だから、いまの状況から考え得る、最も納得のいく答えを探した結果…


女子生徒は「なんで?」を、「なんで起こしたの?」という意味で使ったのだと、黒子は判断した。


だから、


「すみません。驚かせてしまいましたよね?」


黒子はまず、こんな起こし方になってしまったことに対し、女子生徒に謝罪した。


?「あ…いや!大丈夫…です」


この時、黒子が耳にした女子生徒の声は。
やはり今朝校庭で聞いた、少女の声と完全に一致していた。


女子にしては低く、落ち着いた和やかな声。
そこには可愛らしさよりも、芯の通った大人らしい雰囲気を感じさせるものがあった。


そしてその背丈…
今朝、女子生徒の落とたポテトチップスの袋を、その手に戻した時に実感したのと同じ。
黒子とそれほど変わらない身長も、女子生徒の大人らしい雰囲気を増長させているようだった。


「もうすぐHRが始まる時間なので、
 起こした方がいいかと思いまして」

?「え?」


黒子のその言葉を聞くと、女子生徒はキョロキョロと教室を見回し始めた。
時計を探しているということが、その動作から手に取るように分かる。


それを見た黒子が「自分の口から教えてしまおうか」と。
現時刻を口にしようとした、その瞬間…


?「マジか…私そんなに寝て」


ほんの少しだけ、女子生徒が時計を見つける方が早かったようだ。


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