第7章 窓際で出逢い
●no side● 〜1年B組〜
ーちょっと前ー
話は少し遡り、黒子は隣で眠る女子生徒を横目に悩んでいた。
もうすぐHRが始まるにもかかわらず、女子生徒はまだ眠りから覚めない。
こう言う場合、どうするべきなのか…
しばらく考えた結果、起こしてあげた方が女子生徒のためになる。
そう結論付けた黒子は、
「すみません…」
座ったままの状態で、隣に向かって何回か呼びかけた。
しかし…
女子生徒は、起きる気配すら感じさせない。
その様子から「これではダメだ」と気づいた黒子は席を立ち、真っ直ぐに隣の席に向かう。
そして、自身の声がしっかり届くように。
先程、女子生徒の顔を覗き込んだ時と同じように、背中を丸めて顔を近づける。
そして再び、
「すみません」
眠る女子生徒の顔に向かって、声をかけた。
すると、
?「んぁ?」
女子生徒の左瞼が微かに動いた。
それに伴い、黒い瞳がチラチラと見え始める。
目を覚ましかけていることに気づいた黒子は、
「おはようございます」
瞼を開けかけてる女子生徒に向かって、そう続けた。
その声に反応したのか、女子生徒は完全に目を開け。
黒子のことを、その黒い瞳で真っすぐに見つめた。
女子生徒の瞳に、今度は間違いなく自分が映っていることを。
この時の黒子は、見逃さなかった。
だから黒子も、その黒い瞳を真っすぐに見つめた。
自分の姿が映るその瞳を、「白と黒がハッキリしていて綺麗」と、一人静かに称賛しながら。
しかし、次の瞬間…
ガタッ!!という大きめの音と共に、女子生徒の顔が黒子の目の前から消えてしまった。
そして、
?「うっわぁ?!!」
その声に釣られるように、黒子が視線を上げると…
そこには、顔を驚きの色で染めた女子生徒が立っていた。