第7章 窓際で出逢い
●no side● 〜1年B組〜
「“なんで”?」
天は黒子 テツヤが示した反応を受け、後悔を感じ始めていた。
驚いた拍子に、口をついて出てしまった先程の台詞。
考えてみれば、初対面の相手に「なんで?」は不自然極まりない。
現に黒子 テツヤは、「なんで?」の真意に疑問を抱いている。
「そこに突っ込まれでもしたら、どう答えるのが正解なのか」と…
天は寝起きの頭をフル回転させた。
しかし、
「すみません。驚かせてしまいましたよね?」
『あ…』
そこまで心配する必要はなかったのだと。
黒子 テツヤの言葉で気付かされた。
『いや!大丈夫…です』
それよりも心配すべきなのは、「なぜここに黒子 テツヤがいるのか?」なのだろう。
黒子 テツヤが同学年であること。
そして都内の中学に通っていたことは、天も知識として知っていた。
だとしても、こんなピンポイントで入学する高校が一致することなど、あり得るのだろうか?
そんな天の心配をよそに、黒子 テツヤは続けた。
「もうすぐHR(ホームルーム)が
始まる時間なので、
起こした方がいいかと思いまして」
『え?』
黒子 テツヤの言葉に驚いた天は、一旦それまでの思考を停止した。
その代わりに、今度は教室中を見回し始めた。
慣れない教室で、備品の配置に違和感を覚えながら、天は慌てて時計を探し出す。
ようやく見つけた時計の針は。
確かにHRの時間を指していた。
その結果天が、時間の経過に驚愕したのは言うまでもない。