第7章 窓際で出逢い
●no side● 〜1年B組〜
天は、待ち望んでいたはずだった。
まだ見ぬ誰かが、自分の新しい人生に割り込んでくる事を。
しかし…
『な…なんで?!』
天の目の前に、突如として現れた男の子…
その人物の名は、黒子 テツヤ。
かつては天も、プレイヤーとして挑んだ“全国中学校バスケットボール大会”。
通称、全中。
その全中において、近年三連覇を誇った学校があった。
他者を寄せ付けない…
負けるなどあり得ない、そんな学校が。
その超強豪校こそ、帝光中学校バスケットボール部。
黒子 テツヤは、その帝光バスケ部のレギュラーとして、全中に挑んだプレイヤーの一人であった。
天はかつて、黒子 テツヤのプレイを全国の舞台で見たことがあった。
そのプレイスタイルや、チーム内での役割。
昨年の全中で、黒子 テツヤを襲った悲劇に至るまで。
天は知っていた。
だから黒子 テツヤを前にした時、天の中ではその素性や経歴や名前…
また「実物は結構小柄なんだな?」などと言う、様々な思考が頭の中を巡ったのだ。
しかし、その一方…
「“なんで”?」
黒子 テツヤが、天のことを…
女子バスケの選手だった、藤堂 天のことなど知る由もない。