第7章 窓際で出逢い
●no side● 〜1年B組〜
ここは、どこなのだろう?
?「……ま……せ……」
私は今、何をしているのだろう?
?「す……ま………」
薄れる意識の中、天は虚にそんなことを思っていた。
そんな自らの世界に、微かだが何かが聞こえる。
“雑音”と片付けても造作ない程だが、天は徐々に気づき始めた。
これは、“声”だ。
しかし、誰の声なのだろう?
天には聞き覚えのない声だった。
暗がりの中、付きまとうように繰り返されるその音を、うっとおしく思っていた。
そんな時、
?「すみません」
より一層強めに聞こえたその声に、
『んぁ?』
天の意識は、だんだん戻ってきた。
その時、天はようやく気が付いた。
自分が眠っていたという事実に。
そして今、見ず知らずの誰かの声で、眠りから覚めようとしていることに。
だから、強い陽の光から瞳を守るために、無意識に瞼をゆっくり開ける。
…と、思っていたのだけれど。
天は、違和感を感じていた。
明るい春の日差しを考慮して、ゆっくりと瞼を開けたというのに。
実際は、思っていたよりも、さほど眩しくないのだ。
「なぜだろう?」と考えようとした。
その時だった…
?「おはようございます」
瞼を完全に開けて、瞳を向けたその先に、
『うっわぁ?!!』
天のことを真っすぐに見つめる、男の子の顔があったのだ。