第7章 窓際で出逢い
●no side● 〜1年B組〜
赤い頭髪。
釣り上がった目。
座り姿からも分かる高校生離れした体格。
男子生徒は窓側の後ろから二番目…
つまり、黒子の席の真ん前に座っていた。
“睨んでいる”と誤解されそうな程鋭い眼差しで、窓の外を見ているこの男子生徒こそ、火神 大我であった。
黒子は火神の名前こそまだ知らないものの。
これが、後にチームメイトとなる2人の出会いだった。
しかし…
観察眼が鋭い黒子でなくとも、火神が機嫌を損ねていることは容易に判断できた。
黒子には「何故か?」を考える興味すらなく。
今はただ自身の影を薄めて、自席への最短ルートである、火神の横を通るだけだった。
新学期らしくない、そのピリつく空間を抜ければ、黒子の席は目と鼻の先だった。
しかし、
「ん?」
黒子の視線は、あるものに引きつけられてしまった。
いや…
“ある人物に”と言う方が正しいのだろう。
同時に、黒子の足も止まってしまった。
不機嫌な男子生徒…火神を越えた先で、黒子を待っていたその人物。
それは、黒子の席の一つ隣の席。
誠凛高校の女子制服を纏い、机の上に身体を預けている。
髪の黒い、女子生徒だった。