• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第7章 窓際で出逢い


●no side● 〜1年B組〜


赤い頭髪。
釣り上がった目。
座り姿からも分かる高校生離れした体格。


男子生徒は窓側の後ろから二番目…
つまり、黒子の席の真ん前に座っていた。


“睨んでいる”と誤解されそうな程鋭い眼差しで、窓の外を見ているこの男子生徒こそ、火神 大我であった。


黒子は火神の名前こそまだ知らないものの。
これが、後にチームメイトとなる2人の出会いだった。


しかし…


観察眼が鋭い黒子でなくとも、火神が機嫌を損ねていることは容易に判断できた。


黒子には「何故か?」を考える興味すらなく。
今はただ自身の影を薄めて、自席への最短ルートである、火神の横を通るだけだった。


新学期らしくない、そのピリつく空間を抜ければ、黒子の席は目と鼻の先だった。
しかし、


「ん?」


黒子の視線は、あるものに引きつけられてしまった。


いや…
“ある人物に”と言う方が正しいのだろう。


同時に、黒子の足も止まってしまった。


不機嫌な男子生徒…火神を越えた先で、黒子を待っていたその人物。


それは、黒子の席の一つ隣の席。
誠凛高校の女子制服を纏い、机の上に身体を預けている。


髪の黒い、女子生徒だった。


/ 358ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp