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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第7章 窓際で出逢い


●no side● 〜1年B組〜


教室へと足を踏み入れた黒子は、自身の席を探し始める。
その他大勢の新入生が、そうしているのと同じように。


黒板前まで辿り着くのに苦労はしなかった。
「人が少なかったから」などと言う、そんな単純な話ではなく…


これもまた、黒子の特異体質の賜物であった。
本人からしたら、これほど単純なものはないのかもしれないが。


誰に気づかれることもなく、座席を確認する黒子。
黒板を見つめるその横顔が、一瞬「おっ?」という表情を見せたのは言うまでもない。


それは、数十人といるクラスメイトの中で、たった1人しか得られない特権。
倍率にしてみれば、難関校の受験にも匹敵するものとなり得る壁の高さ。


黒子は、初春にしてそれを勝ち取ったのであった。
それがたとえ、教室内で収まる話であろうと…


“隅っこ”という響きに、嬉しさを感じずにはいられなかったのだ。


それが黒子が、人間らしい性質も兼ね備えているということの、何よりの証拠だ。


クラスメイトにバレない程度に、初春のプチラッキーに心を浮つかせる黒子。
もっとも、見られる心配こそ皆無なのだが。


こうして黒子は、黒板から一番遠い自席へと足を進める。
連なる机とクラスメイトたちの間を縫って。


その道中、見知った人物の姿があった。


その人物は黒子と同時刻に、バスケ部の入部受付に現れた男子生徒であった。


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