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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第7章 窓際で出逢い


●no side● 〜1年B組〜


 ーちょっと前ー


火神 大我が、バスケ部のブースを後にしたのと、ほぼ同時刻。


無事、バスケ部への(仮)入部を果たした男子生徒が。
ここにもう一人。


とは言っても、ブースにいた先輩に気付いてもらえず、応募用紙を提出するだけになってしまったが。


しかし、男子生徒本人にとって、この程度なら慣れっこなのだろう。


異常なほどの影の薄さを持ち、自ら話しかけない限りその場にいる事すら認識されない…


黒子 テツヤにとっては。


つい先ほどもそうだった。
正門から校庭を通り、校舎へと進むその道において…


女子生徒の手荷物を、危機一髪のところで受け止めたのにも関わらず。
やはり女子生徒の瞳に、黒子が映ることはなかったのだ。


しかし黒子は「それも仕方のないことなのだ」と割り切った。
その上でその場を後にした黒子は、予定通りバスケ部のブースへと向かい、応募用紙を提出し…


今こうして、自身の教室へと脚を進めている。


やはり、誰にも気づかれないまま…


しかしその道中、


「ん…?」


目線を上げた廊下の向こう側…
黒子が足を進める先から、一人の男子生徒がこちらに駆けてくるのが見えた。


徐々に近づいてくる男子生徒。
黒子に気づいていないのか、その進路から人影を避けるような素振りは感じられない。


黒子はそれを事前に見抜くと。
ぶつかるという直前、サッと男子生徒を避け、難を逃れた。

     ・・
登校中からそうしているのと変わらず。
手の中の小説に、目を落としたまま。


律儀にも「廊下は走っちゃいけませんよ?」という典型的な注意文句を、頭の中で呟きながら。
黒子は、指定された部屋の前に辿り着いた。


1年B組。


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