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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第6章 偶然目があっただけ


●no side● 〜1年B組〜


自分が強引に会話を終了させた後、少女がどんな行動をとったのか、興味があったのかもしれない。


だから火神は、自席に座ったまま首だけを回して。
自分の肩越しに、ちらっと後ろを覗き見た。


その先では…


自身の席に座り、机に突っ伏している少女がいた。


一瞬とはいえ火神を翻弄したその瞳は、今度は前髪に隠させる余地も与えず。
制服をまとった少女の両腕の奥に、隠されてしまっていた。


微かに、その肩がプルプルと震えているように見えたのだが…
「まさか、泣いているのか?」という心配さえも、火神の中には微塵も生まれなかった。


むしろ、その様子を見たことで「やはり変な奴だった」と火神は変に納得し。
鼻を鳴らして、少女から視線を外した。


こうして、新学期の朝に出会った、火神と少女の物語は終わりを告げた。
もっとも、始まっていたのかすら怪しいが。


誰がどう見てもアブノーマルなこの出会いが、この先進展するわけがない。


…と、思われるが。


だが、万一にも…


後にこの2人が、互いに“出会い方が最悪だった奴”という枠にも。
“ただのクラスメイト”という枠にも収まらない。


そんな関係になるのかは…


やはり、火神と少女に委ねるとしよう。


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