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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第6章 偶然目があっただけ


●藤堂 天● 〜1年B組〜


コンマ数秒の、時間の経過すらも感じなかった…


それほどの刹那の間に、表情を180度変えさせるほど。
私の友人を追い込んだ、その“何か”…


それは、彼が口にしたまま。


“痛み”だ。


いや…“痛み”とかそんな単純じゃねぇ!


そこに当てはまるべきは私だ!
“激痛”と書いて、藤堂 天(私)のことだ!!


悪い癖が出てしまった。
気をつけていないと、すぐこういうことになる。


原因は明らかに、さっきの握手だ。
さらに細分化すると、私の左手…に込めた力が原因だ。


つまり、さっきの叫び声は100%私のせいで。
友人が叫んだのは…


私の握力が、規格外に強すぎて。
文字通り、激痛を伴うほどに握りしめてしまったからだ。


しかも、もっと辛い真実がそこには隠れていて…
あの時友人は、単に“手を引っ込めた”んじゃない。


“私の手から逃げた”んだ…!
今思えばあの俊敏さは、完全に反射的な“回避”だった!!


“全ての感情を左手に乗せて”とか言っといて、それが“乗せすぎ”とは微塵も思わなかった。
“感情”じゃなくて、“力”だということも…


これは今に始まったことではない。
けれど、こんなことにならないための注意とか、必要な訓練とかはやっていたつもりだった。


諸々を経て、完璧に加減ができるようになったと思っていた私は、心の中で「クソッ…!」っと叫んだ。


そして、一つ忘れてはいけないことがある。


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