第5章 噂話

●相田 リコ●　〜校庭〜


「それに、お前がポテチちゃんに声かけた時、
　“遠慮します”ってハッキリ言われたんだろ？
　マネージャーになる気がないのは明白だろ。」

「ゔぅ…」


結局、最後に日向君が言ったセリフが、一番小金井君に響いたみたい。
その証拠に、いつの間にか水戸部君の肩を借りて項垂れている。
つまり、分かりやすく落ち込んでいるってこと…


まぁ断られたのが事実だし、当然かもね…


さて…これからどうしよう？


“藤堂 天”の存在を知ってしまったからには、もう…
無視なんてできないわよね。


そもそも、“藤堂 天”は本当にこの学校にいるの？
…って、今更ここで掘り返しても、完全に確信している伊月君に怒られるわよね。


“藤堂 天”…じゃなくて、ポテチちゃんにしておこう。
取り敢えず。
みんなの言う“藤堂 天”は、私の中ではポテチちゃん。
きっと、その方がいい。


女バスのない誠凛を選んだ、バスケの確かな才能を持つ女の子。
強豪校で選手を続ける気はなく、マネージャーになるわけでもない。


バスケ部…女バスがないってだけなら、そういう高校、全国津々浦々どこにでもあるはず。
ポテチちゃんが、その中から誠凛を選んでどんなメリットが？


放っておいてあげるべきとも思った。
どうしたってバスケ部である私たちは、関わらないであげることが、彼女が望んでいることなのかも、って…
“彼女の存在を知った上で”だ…


だけど…


ポテチちゃんは、どんな子なんだろう？



　　　会えるだろうか？
　　　そのうちすぐに…誠凛(ここ)で。



会える…んだよね？
一個下とは言え、その気になれば。


「絶対にバスケに関わらないでいい……ね」

「ん？監督なんだって？」


会ってみたい。


そう思った。


勝手なんだろうけど。
名前も顔も知らないポテチちゃんに。


会ってみたい。