第5章 噂話
●相田 リコ● 〜校庭〜
「…となると、答えは決まるじゃねぇーか」
私の横で、そう言い放った日向君の表情は…
何というか…「もう開き直った」って言っているみたいだった。
そりゃそうか。
いくら違って欲しいと思っても、あそこまで完璧に納得させられちゃね…
だから日向君が「つまりは俺と同じだろ?」と続けても、もう何も不思議じゃなかった。
「選手を辞めてバスケから離れたいから
バスケを絶対にしなくていい
誠凛(ウチ)を選んだ。それ以外にねぇーだろ」
そんな風に、回り道をしないで言い切るところ。
さすがは日向君といった感じで、少し関心してしまった。
かくいう私も、それで決まりだと思っていた。
最後は少々投げやりだったけど、それが行き着いた結果だから仕方がない。
「何があったかは知らねぇーが、心機一転
新しい部活にでも入るんじゃねぇーか?
うわぁ〜宝の持ち腐れだぁ〜…」
そう言いながら日向君は、椅子の背もたれに完全に体を預けて。
春の天を仰いでいた。