• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第5章 噂話


●?? ??● 〜1年B組〜


私が辿り着いた場所。
1年B組。


その時、スライド式の扉は閉まっていた。
だから扉の取手に空いてる方の右手をかけ、開けるために必要なベクトルを調整する。


扉は横向きに加えた力に乗って、私の腕の移動と共にガラガラと音を立てながら移動する。
うちのベランダの扉よりはスムーズだ。
まぁ…当たり前か。
ここ“完全屋内”だもんな。


その先にいる人は、まだ疎らだった。
そこでちょっとした安心感さえ抱いてしまった私は、軽い足取りで部屋の中に踏み込んだ。


きっとこの時。
在学中の“家を出る時間の目安”っていうタイマーが、私の中に新規設定されたんだと思う。
今後はこの時間を軸に、私の生活が決まってくる。


ちなみに、扉は閉めた。
開けた時と同等のベクトルで。右手で。
元から開きっぱなしだったら、きっと私も開けたままにしていたと思う。


“前に倣う”。
そう言う人間だ、私は。


おそらく、座席表が貼っているであろう黒板の前には。
少なからず人集りができている。
席を確認するため、私もその中に入っていく。


そこにあったのは、やっぱり座席表で。
「あまり期待しない」という思いと共に目を走らせ、自分の名前を探す。


「お。」


ついてる。
1番後ろだった。


この時に見た、新しいクラスとそのスタートとなる最初の座席に、何か不満があるとしたら。


「どうせなら1番窓際が良かったなー」ってことだな。


/ 417ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp