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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第5章 噂話


●?? ??● 〜???〜


 ーちょっと前ー


東の空から南に移り行くその間。
春の太陽の下で直射日光はなんの介入もなしに、裸眼の私の目に容赦なく注ぎ込まれる。


けれど、それももうすぐ終わりだ。
陽の光は、間もなく陰る。


頭では、そう分かっていた。
でも瞳孔の微調整は、頭で思っただけではどうにも出来ないんだ。


強い光を、体にとって毒性のないレベルまで調節しようと、狭めていた瞳孔は。
鉄とガラスでできた扉を潜った後。
その先を見つめるには、あまりに光を受け入れなさ過ぎた。


強すぎる光の下で、微量な光しか取り入れてこなかったレンズでは。
その先は闇に等しかった。なにも見えなかった。


“光の量”という名の情報量が少ない場所に、自ら入り込んだ私は。
目の前が仄暗くなる一瞬を経て、瞳孔が広がる感覚を覚えた。


そして、その感覚の先には。
そこに集う者たちの総規模を表すかのように、沢山の靴箱があった。


その小さな箱の集合体の中から、見慣れた文字の連なりを見つけた。
そして、周囲の生徒たちに倣うように、ローファーをそこに収め。
露わになった両足は、上履きに収めた。


そんなことを経て、真新しい校舎の廊下を進み。
何製か分からない廊下の色とか。
階段のタイルとか。
トイレの配置や扉の形状に違和感を感じながら…


私は、指定された部屋の前に辿り着いた。


1年B組。


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