第5章 噂話
●伊月 俊● 〜校庭〜
俺がポテチちゃんの本名を思い出そうと、再び脳内の引き出しという引き出しをひっくり返すその間。
「ウソだろ?!決勝出場の選手が誠凛に?
マジなら今年の新入生
ヤバいどころの話じゃねぇーぞ」
そう言って日向は、他のメンバーと違って最初全く驚かなかった、その分を取り返しにいくように言葉を畳み掛けた。
やっぱり月バスの効果は大きかったようだ。
…とは思うんだけど。
むしろここからが本題だ。
驚いた表情から一変。
日向は眉を顰めて、何やら考え込むようにフリーズしたかと思うと…
「…んん?いや、でもよ」
「ヤベェ〜!!ポテチちゃんって
そんなすごい子だったのか?!
創立2年目で
ここまで有力選手を取り込めるなんて!!
今年はマジで全国行けるんじゃね?!」
日向が何かを口にしようとしたところで、テンションが上がった小金井の声に妨害されてしまった。
でも分かる。
日向が何を言おうとしたのかは。