第5章 噂話
●小金井 慎二● 〜校庭〜
伊月やめろ!
今はオレのターンだ、そういうのはいらねぇ!!
「え?なぁーんだ、断られちゃったんだ…」
勘違いしていた。
影響力を持っていたのはオレの言葉じゃない。
伊月のだ。
だから、さっきのようなことを伊月が言おうもんなら…
「小金井君にしてはいい仕事したと思ったのに。
期待して損した。」
せっかくのオレの実績が、「成果ナシ」に上書きされてしまう!!
そんなオレの気持ちはつゆ知らず、大きめな溜息をついて、監督は再び呆れ顔に戻ってしまった。
嘘だろ!
いま幻滅された?!
伊月に救われたと思ったのに、足を掬って行ったのもまさかの伊月だった。
もう頼ることはできない。
「うっ…で、でも!
入りたい部活はまだ決めてない、って
言ってたから…まだ可能性はあるだろ!」
「期待するとあとで後悔するぞぉ〜
ってことで、勧誘行ってこぉーい」
「ひどっ!!」
トドメは日向にバッサリとやられてしまった。
その時、オレの中のHPゲージがゼロになった音がした。
お…オレのメンタルがぁあぁ〜〜〜…
休憩していたはずなのに、オレは何のために進んで体力をすり減らしてたんだ?
「………」
「水戸部…オレなんか悪いことしたっけ?」
「………」
「そう…?サンキュ…」
お前だけだよ。
オレを心配してくれるの…