第5章 噂話
●相田 リコ● 〜校庭〜
「よう。」
「「 ん? 」」
「これ、集め忘れてる入部届。」
「あは、ごめん。」
小金井君が差し出した用紙を受け取り、誰のものだったか確認する。
「ええっと、"黒子 テツヤ"……あれ?
ずっと机番してたのに、全く覚えてない…」
用紙に目を走らせた私の目に飛び込んできたのは…
“帝光中学 バスケットボール部”
「んっ!」
「どした?」
「て…帝光バスケ部出身!」
思わず大きな声で、入部届に記入されている文章を読み上げた。
「ていこうって…あの“帝光”か?!」
「そうよ。
しかも今年一年、ってことは…」
忘れるわけがない。
今年は特別な年なんだ。
なぜなら、“アイツら”が高校に上がってくるから。
中学バスケで最強と言われ、その5つの最強が1つの強豪校に集まったことで、3連覇を実現させた天才の集まり。
それは…
「"キセキの世代"!」
「"キセキの世代"…?……あの有名な!?」
「うん。
うわぁ〜なんでそんな金の卵の顔
覚えてないんだ私〜」
さっきのヤツはアメリカ帰りだし。
今年…1年ヤバイ!?