第1章 荼毘 裏夢
目を覚ますと、荼毘の姿はなかった。
体が冷えないようにと、かけられた掛け布団
無造作に乱れたシーツは昨晩のことを思い出すには十分な情報だった。
今でも荼毘との行為、声、触れた皮膚の感触、音、意識すればその場を追憶できる。
「燈矢くん…」
以前より広く感じるシーツを掴む。昨晩はその手には荼毘の手が力強く握られていた。
この記憶は、これからの悪夢だ。
「…おやすみなさい。」
轟燈矢は、荼毘に付した。
また夢で会えると良いね。そう思いもう一度目を閉じる。
追記
「荼毘に付す」これが書きたかった。満足。