第1章 荼毘 裏夢
「勘弁してくれよ、途中から3対1とか無理だろ、俺弱えーなぁー……」
プロヒーローを襲撃した荼毘。自身の有利な場所に誘き寄せたつもりが、援護が早めに到着し、返り討ちにあい逃げた。
片足がズキズキと痛み上手く動かない片足で歩く支えにもならない。骨が損傷してるのがわかる
「くそ……こんな所で、くたばって…たまるか」
薄暗い駐車場の端で背中を壁に預けて倒れ込む
血が頭からドロドロと流れる。
自分の血の匂いと炎症からの高熱で息が上がる。
掠れる視界に誰かが駆け寄り何かを喋る。
「……〇 〇、くn…… ?」
意識が薄れ、耳が遠くなる荼毘に声は聞こえない。そのまま視界が黒くなる。
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荼毘が目を開けると知らない白い天井が目に入る。
薄い意識で視線を動かす。
生活感の溢れる白と薄木目の部屋。明け方の太陽光と揺れる白いカーテン。
「(ここは……?)」
喉が掠れて声が出ない
廊下に目をやると人が1人
「あ、目が覚めた?」
見知らぬ同い歳くらいの女性がウォーターサーバーの水をコップに入れて持ってくる。
「だ……ぁ、」
誰だの言葉も出ない
「ほら水飲んで、点滴だけだったから喋りずらいでしょ」
右手首を見ると、点滴の針が刺さり、上に続くチューブの先に透明の液体が入った袋が繋がっている。
頭にも包帯が巻いてある感覚がある。
「(病院……じゃ、ねぇよな)」
水を受け取り飲む
「ぁ゛……あ”ー、ゲホ、」
喉を鳴らして軽く声を出す。
上体を起こすと昨晩感覚のなかった足にはギブスが固定され包帯が巻かれていた。
壁に固定されたハンガー掛けにシーツが器用に結ばれ、そのシーツに足を乗せ浮いた状態になっている。
「お前……何者だ。医者か?」
明らかにおかしい。部屋は女子大生のような部屋。通報もせずに見ず知らずの男を連れ込んでここまでの処置できるわけがない。
警戒心が高まる荼毘
「んー、少し違うかな。医学院生でまだ学生だよ。それよりさ、」
が荼毘に顔を近づけて続けて言う。
「轟、燈矢くん…だよね?」
その質問に荼毘の動きが止まる。