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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第64章 霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている / 🌫️


🐿️

「そ、あんたの時間感覚を狂わせる為に施した。まんまとかかってくれて、助かったよ。因みに空間遡行(くうかんそこう)って言うんだ」

凄いでしょ? と腕を組んだ鬼は愉快そうに笑い出した。

「そうだ! 柱のあいつさ、今閉じ込められてるじゃん。あの術って時間が経つにつれて空間が狭くなるんだよね」

「そんな……!」

「あんたの目の前で、あいつはペシャンコってわけ。良い筋書きだろ? ざまあみろ」







『叩いたり蹴ったりしたぐらいじゃ割れなさそうだな』

無一郎は、手や足で自分を包んでいる空間の強度を確かめていた。
鬼の発言通り、閉じ込められた数秒間で少しずつ透明な壁が彼を押し潰そうと迫って来ている。

『さっきは割れた。大丈夫、僕の呼吸はこの術を破れるはずだ…落ち着け』

深く長い呼吸が無一郎の口から静かに吐き出される。

「壱ノ型・垂天遠霞(すいてんとおがすみ)」

霞柱は自分と真っ直ぐになるよう、頭上に向かって日輪刀を突く。

その直後 —— パリンと先程と同じように硝子が割れる音が辺りに響き、閉じ込められた空間から無一郎は脱出した。


「へえ、出れたんだ。ガキなのにやっぱり柱なんだな」

「残念だったね。僕の呼吸、君の術と相性が良いみたいだよ」

「はあ? たまたまだろ。血鬼術 ———」

『次で斬る!!』


「空間湾曲」

「肆ノ型」


踏み込んだ無一郎の目の前の景色がぐにゃりと歪むが ——


「移流斬り」

「グ…ア…」


曲がった空間を刃によって鋭く一閃したのち、鬼の足元に滑り込むような動きをした霞柱。
放たれた術と共に、夕霧の脇腹から肩口までを斬り上げ、返す刀で悪鬼の頸も切断したのだ。

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