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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第64章 霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている / 🌫️


🐿️

「こんな時に酷な事を言って申し訳ない…」

二人を埋葬したい。
炎柱が少女にゆっくり告げると、それまでどうにか曇天(どんてん)を保っていた空からぽつ、ぽつと雨が降って来る。

そこへ——

「ゆずはちゃん、私達も二人をきちんと見送ってあげたいの……それが残された者の役目だとも思うんだ」

「辛いな、俺もまだ…信じらんねぇよ」

「おじ、さん…おば、さん…」

応急処置をして貰ったのだろう、手負いの男女がゆずはに声をかけた。家族ぐるみで付き合っている隣人夫婦だった。

怪我をした互いの体を支えながら、ゆっくりとゆずはの元に歩いて来たのだ。

それから段々と強さを増して落ちて来た雫は、ゆずはの泣き声を覆い尽くすように。彼女の体へ冷たく重く染み込んでいった。

















「立川お疲れー。非番なのに来て貰って悪ぃな! これ預かって来たんだ」

「お疲れ様です。私は構いませんけど…大事な話ってこのお手紙? の件ですか?」

朝からご機嫌。そんな太陽の光が差す昼下がりの事だ。
やや遅めの食事を終えた直後、ゆずはは一人の男に呼び出された。あの惨状から一年経ち、彼女は鬼殺隊に入隊した。


鬼に殺された両親や村人達の仇を討ちたい。


日輪刀と呼ばれる刀で鬼を狩る隊士を目指し、炎柱に紹介して貰った育手の元で鍛錬を積んだ。

しかし —— 懸命な努力が実る事はなく、隠と呼ばれる事後処理部隊へと転向したのだ。


「ほんっと急で悪い。これから本部へ行ってくれないか? お館様がお前に頼みたい事があるんだって」

「え? 本部って鬼殺隊本部ですか? 何かの手違いじゃ…」

「いや、間違いなくお前へのお達しだよ。その手紙に名前書いてあるだろ?」


先輩隠・後藤より文を預かったゆずはは、受け取った手紙を改めてしっかりと見つめた後、全身が震えてしまう。


【立川ゆずは様】


流麗な文字が並ぶ封の後ろには、これまた流麗な文字で【産屋敷耀哉】と記されていたからだ。

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