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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第63章 Valentine masquerade / 🎴・🌫️



「無一郎くんが髪を結んでるの、新鮮だよね」
「どうしたの、急に」

「うん、ごめんね。でも凄く良いなあって思って」
「そう?」

腰まである長髪の無一郎くんは、バスタイム中流石に髪を縛らないとダメらしい。

胸元までの長さの私でも、結ばないとお湯に浸かっちゃうから、当たり前と言えば当たり前か。

線が細い彼だけど、自分にはない喉仏があってそのラインが何だか色っぽい。首も長いし、うなじもきれいだから羨ましいな。

じいっと見つめていると、急に唇をちいと吸われた。

「んっ、急にどうしたの?」
「だってさっきから君、僕の首やうなじしか見てない」

「いいじゃない、きれいなんだから」
「……七瀬の方が断然きれい」

そこから彼のキスが始まった。

私と口付けをするのが好きなのは、実は無一郎くんだ。

可愛く啄むキスも、互いの唾液を味わうような深くて激しいキスも殆ど仕掛けてくるのは彼だもん。

唇同士での愛撫が止むと、そろそろ上がろうと言われた。浴槽は気持ち良いけど、長風呂するとのぼせやすくなるもんね。

泡に包まれたボディタオルで互いの体を洗い合った後は、一度体を拭いてバスルームから退室した。お風呂を済ますと、丁度夕食の時間になっている。

部屋に運んでくれると言うプチディナーを二人で堪能して、寛いでいると ——


「ごはん美味しかったね〜本当このプランに当たって良かったあ」
「ねえ七瀬、これも一緒に食べようよ」

冷蔵庫に入っていたミネラルウォーターを飲みながら、私がソファでくつろいでいると、同じく冷蔵庫の中からある物を取り出した無一郎くんが隣に座って来た。

宿泊プラン利用者にプレゼントされると言う、チョコレートらしい。チョコの大きさは片手に収まる程で、シンプルな茶色一色。

だけど、艶がとても良くて一目でこれは美味だなとわかる品物だ。

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