恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第17章 令和になってもやっぱり寡黙 / 🌊
………次の日の昼休み。
階段の踊り場で私と義勇さんは昼食を食べた後、話していた。
「義勇さんだけだったんですよ。先生方の中で記憶を取り戻せてなかったの」
「……面目ない」
ふう、と息をついて彼はぶどうパンの袋をクシャッと丸める。
「どうでした?今朝の職員室」
「不死川がおはぎをくれた」
「良かったじゃないですか……」
「……煉獄はさつまいもをくれた」
「……先生達自分の好物ばっかり」
私はふふっと笑うと、義勇さんを見つめる。
「記憶が戻ってから、ずっとあなたを待っていました」
「おかえりなさい、義勇さん」
「………ただいま」
今世で初めての口付けはとても優しいものだった。
「一緒に……」
「なんですか?」
「お前と鮭大根を一緒に食べたい」
「はい、じゃあ前みたいに2人で作りましょう?」
「ああ、楽しみだ」
再度、彼から優しい口付けが届く。
私は彼の首に手を回して、100年分の思いを埋め合う口付けを恋人と交わした——
end.