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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第61章 注意せよ、その風に 〜He is gale〜 / 🍃




「作麼生(そもさん)」

「説破(せっぱ)ァ」


風柱邸の和室にて、不死川実弥とその継子である沢渡七瀬は正座の姿勢で向き合っていた。


「車は車でも、ガソリンを使用せずに動く車は何でしょう」

「はァ? そんなもんあるのかよ」

「ありますよ! 師範の刀にも……」

「俺の日輪刀?? ますますわかんねェ」


二人が取り組んでいるのは”頓知(とんち)”である。
何故こんな事をしているかと言うと —— それは一週間前に遡る。










「よし、いない! 」


七瀬は風柱邸の庭を忍び足で素早く走り、門扉まで辿りついた。時刻は午前八時。先程師範である実弥との早朝稽古を済ませ、朝食も食べ終わった時分である。


『全く…何で朝に二回稽古しなきゃいけないんだろう。さっきあんなに激しく打ち込んで来たのに、師範の回復力早すぎ!』


「おィ、誰がいねえんだって?」


瞬間、七瀬の喉がひゅっと鳴り、背中に一筋の冷たい汗が上から下に向かってゆっくりと流れた。

後ろから聞こえたのは、低く地響き—— まではいかないものの、彼女の心と体を恐怖で震え上がらせる一人の男の声だ。

七瀬は一つゆっくりと深い息を吐き、気持ちを落ち着ける。

自分の後方にいるのは鬼にも負けない、恐ろしい存在の為だ。
意を決した彼女が振り向いた先には、凄まじい殺気をビシバシと放つ己の師の姿があった。


「あの、師範」

「なんだァ、継子の皮を被った脱走犯さんよゥ」

「脱走なんてとんでもないです……!今日はとっても気持ちが良い天気になりそうだから、少しこの辺りを散歩……」

「行くぞォ、まずは素振り五百回だァ」

「あっ! ちょっと、しは……」


継子を軽々と肩に担ぐ師範、である。




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