恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第60章 feliz cumpleaños / 🎴・🌫️ ✳︎✳︎
黒い茂みをゆっくりとかきわけると、初めて見るそれが視界に入って来た。桃色に熟している割れ目は上に小さな突起があり、その下にある穴は透明な液で湿っている。
「触れるぞ」
「うん……ひゃっ」
ぬるぬるとした液が自分の人差し指にまとわりつくように付着する。ほんのりとあたたかいのは七瀬の体内から出て来た証拠だ。
続けて割れ目をなぞると、また頭上から彼女の声が甘く響く。
少し触れる速度を上げると、今度はビクッと下半身を揺らす七瀬だ。
まただ、下半身が熱い。
この感覚には覚えがあり、任務後に高揚感と一緒にたまに訪れるあれだ。
★
『性欲だな』
『せ、性欲? ですか』
『そ、女を抱きたいとかそう言うヤツ』
『だ……?? 』
『抱くって何だ? 美味いのか?』
一ヶ月前、善逸・伊之助と一緒に音柱邸 —— 宇髄さんの屋敷にお見舞いに行った。遊郭任務で共に戦った元・音柱は左目と左手を欠損してしまい、柱を引退する事になったがそれ以外は至って変わらない宇髄さんだ。
そんな彼から年頃の俺達は色々とあるんじゃないのか、と問いただされたのだ。
これに素早く反応したのは善逸だった。 任務後に鬼を討伐した高揚感と一緒にムラムラする事がある、と。
俺も頻繁に味わっていた、あのどうにも表現しづらい感覚と全く同じ事を友人が言う。だから本当に驚いた。
俺だけじゃなかったんだ……と安心した事をまだ覚えている。
自分と善逸が身を乗り出し、対処法を宇髄さんから教えてもらった時にした会話が、さっきのやりとりだ。
伊之助はあまりよくわかってないみたいで、終始不思議がっていたのが印象的だったな……。