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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第59章 左目に夜華(よばな)が咲く / 💎



「ありがとうございます」と礼を伝えた無一郎は、天元とは反対方向に向かい帰宅して行った。


無一郎はこの後、無限城での最終決戦にて若く瑞々しい命を散らしてしまう。
天元が彼と顔を合わせたのはこの時が最後になってしまった。




『お前を殺した鬼も討伐された。受け取って大分経っちまって悪かったな。情けねえ事になかなか読む勇気が出なかったんだわ』

無一郎の姿が完全に見えなくなった事を確認した天元は、懐に忍ばせていた一通の文を取り出した。

今朝須磨に開封して貰い、四つ折りにたたみ直された手紙である。
彼はそれを右手だけで器用に開いて目を通し始める。





【宇髄天元様

師範、申し訳ありません。
これを読まれていると言う事は、私はもう死んでしまった後なんですよね。鬼殺隊の習わしにより遺書をしたためるのと同時に、お手紙を残しておこうと思い立って文を書いています。

今は師範の継子になって二ヶ月が経過した所です。
毎日の鍛錬はとてもきついけど、師範の指導は的確で確実に私の体が変化していく様子が日々わかります。
いつまであなたの継子でいる事ができるのか。

最近はこの事ばかりが気になっています。
と言うのは —— 】





「そんなもん、気づいてたっつーの!」

七瀬の墓に向かってそう言葉を発した彼は手紙を畳んで、再び懐に入れた。
「また来月、嫁達と来るわ」と声をかけ、墓地の入り口に向かって歩き出した。




『俺もお前と同じだったぜ、いつまで師範でいれるのか。ずっと気になってたわ』


五月の爽やかな風が天元の銀髪をふわっと揺らす。


『お前に好きだって一言伝えときゃ、違ってたのかなー。時透と同じで俺もタラレバは好みじゃないんだけどよ』


見上げれば、見事な五月晴れの青空がそこにあった。


『縁があったら、来世ってヤツでまた会おうぜ……七瀬』





















【師範の事が気になってたまらないんです。鬼舞辻無惨を討伐出来たら、思い切って気持ちを伝えますね。


私はあなたの事が大好きです。



沢渡七瀬】











継子(悲恋)エンド
〜終わり〜



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