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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第55章 誰にも言えない2人だけの誓い〜夢主目線〜 / 🔥✳︎✳︎



「すまない。今日も血をもらっても良いか?」
「……欲しいの?」

「ああ。君に触れると、どうしてもこうなってしまう」
「良いけど……あまり痛くしないでね?」
「うむ。心がける」

杏寿郎は私の血がとても好きらしい。
本能が求めていると以前聞いた事がある。こう言う話を聞くと彼はやはり鬼なんだなあと実感してしまう。

私はゆっくりと目を閉じた。すると杏寿郎の牙が唇にぷすっと刺さり、血が滲んだのが見えなくてもわかった。

でもそれは一瞬の事だ。彼があたたかな舌で丁寧に舐め取ると、あっという間におしまい。


「ん……」
「痛かったか?」

違うよ、痛いんじゃない。気持ち……良かったんだけど、ちょっと言うの恥ずかしいな。


「大丈夫!全然痛くなかったよ。ありがとう、杏寿郎は優しいね」
「良かった」

心から安堵する顔を見せる彼が愛おしくてたまらない。


「ねぇ……」
「ん?どうした?」
「うん……あのね」

私は手招きして、彼の耳元でいつかと同じようにこっそり呟いた。
今日も爪先には杏寿郎と揃いの橙色を塗っている。


「この後は夜の散歩にでも出かけようと思ったが……予定変更だ。このまま君を貰う」


彼が私の左薬指に口付けた。ドキッと胸が高鳴った後、唇にも口付けを落としてくれた。
両腕を彼の首に回すと、互いの距離がグッと近づく。牙が当たらないように私の口腔内を優しく愛撫してくれる杏寿郎にまたキュンとした。


「杏寿郎、大好きだよ」
「俺も七瀬が大好きだ」



あなたに初めて出会った時はとても怖かったけど、こんなに綺麗な男の人がいるんだなあと驚きもしたんだよね。
お付き合いをするようになって、彼の良い所をいっぱい知ってどんどん好きになった。

だから ———


「そろそろ鬼になろうかな。あなたと一緒に生きていきたい」

私がそう伝えると、彼は凄く驚いていた。
でもとても嬉しそうな表情も見せてくれた。これは恋人である私しか知らない顔だ。


ねえ、杏寿郎。ずっとずっと私の側にいてね。あなたのいない日々はもう考えられないよ。




end.


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