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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第53章 Latte ship / 🔥✳︎✳︎



「…………」

「七瀬?どうした」

彼女の顔を覗き込むと、無表情だ。むう、タイミングを誤ったか……。ふうと一つ深呼吸をし、七瀬のお腹に回していた両手を離そうとすると、上から恋人の両手が重なった。

「ダメ、離さないで」

「すまない、頃合いを間違えたかと思ってな」

「間違ってなんてないよ」

彼女がくるりと俺の方に体を向けると、口元には笑みが浮かんでいる。

「ごめんね。びっくりしたのと嬉しいのと……ダブルで感情が揺れたからすぐに反応が出来なかった」

「すまん……」

「今ね、私すっごく幸せなんだ。だから謝らなくて大丈夫」

「わかった」

ふふ、と再び笑顔をこぼした彼女は、一度両目を閉じてぱちっと開ける。

「私も杏寿郎さんと結婚して、夫婦になりたい。だからこれからも宜しくお願いします」

「ありがとう!」

恋人 —— 近い将来自分の妻になる人の顎をくいっと掴み、キスを落とした。彼女の両手が俺の首に回ると、距離がグッと近づく。
一足先に誓いの口付けだ。


「これから色々決めなきゃいけない事たくさんだね。杏寿郎さんは着物とドレスどっちが好き?」

「どちらも着れば良いんじゃないか?俺は両方見たいが」

「わかった!私もタキシードと紋付き袴、両方見たいからどっちも着てね」

「承知した!」

その後、カフェラテを飲んだ俺達はこの晩いつもよりたくさん体を繋げた。プロポーズに成功した高揚感が後押しとなり、文字通り彼女を抱き潰してしまう。

幸い、七瀬は仕事が次の日休みだった為、事なきを得た。
しばらくこんな事が続いてしまうかもしれない。
……気をつけねば。


『かわいい花嫁になるのだろうな』

疲れて先に寝てしまった恋人の左頬をそっと撫でると、口元に笑顔を浮かべる仕草がたまらなく愛おしい。

『病める時も健やかなる時も、死が二人を分かつまで……君を永遠に愛するとここに誓う』


先程の誓いの口付けに続き、誓いの言葉も一足先に心の中で呟いた。そして彼女を起こさぬよう静かにキスを一つ落とし、また口元に笑みを浮かべた七瀬を抱きしめる。

心身共に満たされた気持ちを感じながら、俺は両のまぶたを閉じた。




end.
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