恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第53章 Latte ship / 🔥✳︎✳︎
「ずるいよ、その顔」
もう一度彼にキスを贈りながら、滑らかな頬を撫でる。
「やはりつけてくれないか」
私を見つめている双眸がゆらゆらと揺れていた。そして右手にゴムを持たされる。
「七瀬、頼む」
左頬がふわっと包まれ、ちうと唇にキスが一つ。
「じゃあ、その……つけるね」
「ああ」
ピリ、と小袋を切り取って中からコンドームを取り出す。ふうと深呼吸を一つ。また下腹部からとろりと熱い液が流れ出たのがわかる。
「あっ、ちょっと」
「んっ、ダメか?」
ツツ、と愛液を長い指が掬ったかと思うと、彼はまたそこについた透明な液を舐めとった。
「スイーツのように甘いなあ、君のここは」
「そんな事ない……!」
先走りの液が付着している彼の昂り。そこをゴムで素早く被せた私は、左手で顔を覆った。
「意地悪な俺は嫌か?」
「……嫌じゃ、ないけど、少し困る事が多いかな」
「七瀬が愛いすぎる故だ。許してはもらえないだろうか」
彼の愛情表現はとてもわかりやすい。好きな物は好きだといつも口に出してくれるから、女側からしてみれば安心出来る事ばかりだ。
顔を半分覆っていた手を外し、恋人に視線を合わせる。
「あのね、杏寿郎さんがいつも私の事を大事にしてくれたり、かわいいって言ってくれるのは凄く嬉しいの。でもね…」
「うむ」
意地悪されると、自分の体が理性と反比例してしまうのが物凄く恥ずかしい。それが毎回いたたまれない。これらを真っ赤になりながら伝えると彼は。
「やはり君は愛い!……好きだ」
「んっ…」
優しいキスをもらった私は杏寿郎さんの愛撫をしっかりと受け止めていく。唇同士で水音を響かせていると、ゆっくりと腰が持ち上がる。