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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第53章 Latte ship / 🔥✳︎✳︎



よく晴れた一日の午前中の事だ。
パァン—— !!

「面 !!」

道場内に響き渡る音は、竹刀が剣道の防具を叩いた事を表している。互いに竹刀を納め、一礼をする。小手を外して防具を縛っていた紐を解いて面を取った。

この開放感が心地よい。頭にまいていた手拭いを外して、目の前にいる彼 —— 恋人の杏寿郎さんに駆け寄った。


「もー!!杏寿郎さん、容赦ないなあ」

「ははは!鍛錬を怠るとこうなる良い例だ!」

「私より忙しいのに、いつしてるの?」

「幼少時からやっているからな。パイロットになっても体力作りの一環として、ルーティンに取り入れている!どうだ?七瀬、君もやるか?」

「え、いや。私はたまにやるから良いのであって……遠慮しておきます」

「何だ、張り合いがないな」

道場から入ってくる光を受け、彼の金髪がキラキラと輝いている。
私と違って顔に汗はほとんどかいていない。無駄な動きがない証拠である。


杏寿郎さんと私は同じ航空会社で働いている社員だ。さっき言った通り、彼はパイロット。自分はCAと呼ばれている客室乗務員だ。


「次は久しぶりに君と同じフライトだな」

「うん、そうだね」

ポンとあたたかい掌が私の頭に乗せられた。
杏寿郎さんは私より四つ年上で、彼の下には七つ違いの弟さんがいる。だからだろうか。いつも余裕を感じるし、何より包容力が半端ないのだ。


「兄上、七瀬さん。お疲れ様です!お茶と甘味の用意出来てますよ」

入り口から声をかけてくれたのは杏寿郎さんの弟の千寿郎くんだ。彼はこの四月から私達と同じ会社で働く航空管制官になる。


「ありがとう!今行く」

「ねえ、千寿郎くん。お兄さんの腕前また上がってない?前より強くなっている気がするんだけど……」

私は彼が撫でてくれた頭に手をやる。防具越しでも伝わって来た振動がまだ少し頭頂部に残っているからだ。

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