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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第50章 一炎・ニ水・三ヒノカミ / 🔥・🌊・🎴



〜炭治郎と行く初詣〜

「はあ……夜はやっぱり寒いね」
「そうだな」

今日は12月31日、大晦日。時間は23時50分を回った所だ。任務が早めに終わった為、俺は恋人の七瀬と初詣に来ている。
夜遅くにも関わらず、神社の境内前はこれからやって来る新年を祝おうと言う人達の熱気で溢れていた。


「炭治郎の着物、かっこいい柄だね。千鳥格子だっけ、どうしたの?」

「これか?義勇さんから譲ってもらったんだ」


へえ、と意外そうに俺を見ている彼女。
義勇さんは俺達2人の兄弟子で恐ろしく男前だ。普段あまり人に関心がない兄弟子だが、七瀬と恋仲になった事を報告するとこの着物を渡してくれたのだ。

きっと彼なりの気遣いなのだろう。
七瀬が着ている着物は妹の禰󠄀豆子も着用している麻の葉模様だ。色は薄紫。しのぶさんにすすめてもらったらしい。


「禰󠄀豆子の着物が可愛いから、つい真似しちゃった。どうかな?」

「うん、凄く……似合ってる。かわいい」

本当は綺麗だって伝えたい。だけど照れ臭さが上回り、なかなか口に出せない。


そんなこんなでお詣りを済ませ、おみくじを開こうとした時の事だ。突然周りの人達が「おめでとう!」と口々に言い出した。
どうやら新しい年がやって来たらしい。


「卯年……飛躍の年になるかなあ」
「大丈夫。きっとなるよ」

「ふふ、炭治郎が言ってくれると本当にそうなりそうだね」
「そうか?」


あ、おみくじ…と途中まで開いていたそれを確認すると ———

「やったね、2人共大吉!!幸先良いね〜」
「ああ、そうだな!俺も嬉しい」

2人共に笑顔でパン、と右手同士を当てた。



帰り道、両脇に深夜の屋台が並ぶ中を歩いていると卯の焼き印が押してある大判焼きの店に長蛇の列が見えた。
せっかくの新年だ。そう思い、俺は隣を歩く恋人に声をかけると2つ返事で了承してくれる。


15分後、無事に2個の大判焼きを買った俺達はある事に気づく。
2つの内1つの大判焼きには笑顔の卯の焼き印がついていたのだ。

「これ、きっと運が良い証拠だよ。やっぱり炭治郎は持っているね!」

「そうか?」

うん、と頷く恋人に愛おしさを感じた俺は彼女の右頬に口付けをした。今年もきっと良い年になる。そして照れた彼女にもう一度口付けを贈った。

今度は唇に。



end.
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