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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第50章 一炎・ニ水・三ヒノカミ / 🔥・🌊・🎴



〜杏寿郎と行く初詣〜

「む!破魔矢を無くした??」
「はい……さっき買ったばかりなのに…すみません」

今日は1月1日の元日。
新しい年の始まりだ。干支は卯…そう、卯年。

昨晩は互いに任務の為、年越しそばは食べれなかった。
最近巷で流行っていると言う年明けうどんを2人で食し、近くの神社に初詣へとやって来ている。

隣で涙を滲ませているのは俺の継子であり、恋人でもある七瀬だ。
父と弟は後で行くと言うので、俺達は先に神社に出向いた。

ほんの30分前にお詣りを済ませ、楼門を出たのだがどうやらその間に破魔矢を落としたらしい。


「いつも人の往来が多い場所に行く時、大事な物は面倒でも手元に持つようにしているんです。今日に限って……この手提げ袋に入れてしまったのが運のツキでした」

はあ、と小さな口から吐き出されるため息。

「着物も化粧も爪紅も、自分で言うのも何ですが、上手く仕上がって気分が良くて。杏寿郎さんも褒めてくれたでしょう?でも私浮かれすぎていたみたいです…」


彼女が言う通り、今日の七瀬は一段とかわいい。
いや綺麗と言い直そう。明るい橙色の着物に薄付きだが、品がよい化粧。そして10個の可憐な指先。

そこには俺の羽織の色である緋色と、彼女の羽織の色である青柳色が交互に塗られている。


「自分が嫌になります。何で落としちゃうんだろう」

ますます彼女の表情が曇っていく中、俺はある提案をした。





「良かったんですか?」
「ああ!無くしたならばこれが1番手間が少ない」

あれから俺と七瀬はもう一度破魔矢を購入した。

「実はな、鏑矢(かぶらや)が欲しいと思っていたんだ。故に丁度良かった!」

ただ残念ながら破魔矢は既に完売していた。今自分の左手には破魔矢より大きい鏑矢がある。

「大きい方が邪をより打ち払ってくれる気がしないか?これで我が家も更に安泰だ!」

「杏寿郎さん、ありがとうございます。そう言って頂けると凄く嬉しいです」

当然だ。俺はいつでも君の喜ぶ顔が見たいのだから。


「あ、槇寿郎さんと千寿郎くん!」

父と弟が手を上げてこちらに近づいて来る。
俺はもう一度彼女の左手をきゅっと繋ぎ直し、指を絡めると恋人の顔がようやく明るくなった。

今年もこの笑顔をたくさん咲かせていかねばな。



end.



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