恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第49章 両手に炎 〜炎柱ver.〜 / 🔥・🎴
「師範、炭治郎です。入ってもよろしいでしょうか」
『来たか……』
討伐報告書を書いていた杏寿郎は、継子が自分に声をかけた事によりその手を一旦とめる。入室を促すとスッキリした表情の炭治郎がこちらをじっと見つめていた。
師範は自分の隣に座るよう促すと、遠慮がちに継子が腰を降ろす。
「…………」
「…………」
沈黙がやや重苦しい。それを打ち破るのは炭治郎だ。
「七瀬と恋仲になりました。彼女も自分を好いてくれると言ってくれました。もちろん鍛錬には支障が出ないよう精進します!」
「そうか、良かったな」
「ありがとうございます」
お礼を述べる継子に笑顔を見せる師範。
だが ———
「君は気づいているのだろう?俺も沢渡の事を好いている。なかなか恋と言うのは厄介だな。簡単には諦められないようだ。よって竈門少年!」
「は、はい!何でしょう」
杏寿郎の大きな声に多少驚きながらも、炭治郎は次の発言を待つ。
「沢渡を振り向かせるべく、動いてみようと考えてる!覚悟するように。これは冗談でも何でもないからな!」
「……わかりました。師範がそう言う考えなら俺も全力で応戦します。七瀬は絶対に渡しません!」
ここに”恋”と言う導火線に2つの炎がボッと激しく灯った。
どちらが先に燃え尽きるのか。
どちらが先に七瀬の愛情に辿りつく事が出来るのか。
「んー!!稽古の後の湯浴みは最高!」
2人の男の恋末路。それは七瀬が全ての鍵を握っている。
「父上!俺も恋がしたいです!」
「なっ………千寿郎、いきなりどうした??」
3人の様子を見て、恋に憧れてしまった千寿郎。
彼の心の導火線にも小さいが、確かな恋の炎が点灯した瞬間である。
〜炭治郎と食べるくりすますけーき〜
end.