恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第14章 夏の青天に手を伸ばす / 🔥
「さっきのヒント、優しすぎますよ……杏寿郎さん」
「ヨーロッパまではわかってたからな。特別だ」
2人の間に甘い空気が流れた。
私は半年前から彼とお付き合いをしている。もちろん周りに内緒で。
「七瀬と校内でこうして2人になれる事はそう多くはない。休んだ君には少しだけ感謝している」
「だが……辛かったな」
そう言って私の頭を優しく撫でてくれた。
「はい……久しぶりに発熱したからしんどかったです。お陰で先週の大河見逃しましたし。そんな時に限って録画も出来てなくて…杏寿郎さんにも会えなかったし」
シュンとしてしまう。すると彼はこんな提案をしてくれた。
「土曜日に再放送があるだろう?うちで一緒に観るか?」
この言葉に、ぱあっと笑顔になる。
「はい!観たいです!」
「では決まりだな」
やったあ。
嬉しくなった私は窓に近寄って真っ青な空を見上げる。雲一つない綺麗な空だ。
そして、栄一がドラマの中でやってたように右手を空に伸ばす。
「青天……だな」
杏寿郎さんが私の横に来て、同じように見上げながら呟く。
この青空の下を早く2人で堂々と歩きたい。
卒業まで後1年8ヶ月。
“彼の恋人”とはっきり名乗れるようになる未来まで、まだ少しだけ遠い ———
end.