恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第47章 B1のサンライズ / 🔥
ブーブーブーブー………。
ベッド近くに置いてあるスマホが起床時刻を教えてくれる。
ん、朝か……。私は頭痛がする中、のそのそと起き上がって右腕を出す。
目を瞑ったままスマホを探り当て右手に収めると、タップして振動を消した。
目を擦りながら、まだ完全には覚めてない思考で画面を確認する。
6:00と表示されている。いつもの自分の起床時刻だ。それは普段通りだけど、何かが違う。
あれ?私、何でバスローブ姿なの?それにこの部屋何?
疑問を感じながら、少しずつ覚醒しきっていない脳内を整理していく。
そうだ……昨日は祝日だったけど、休日出勤したんだ。今は11月下旬。日曜日から4年に一回のサッカーW杯が始まって……この日は日本戦があったのだ。
あまりサッカーに詳しくない私でも、同期でスポーツ好きの村田くんから毎回話を聞いている為、国民が注目してしまうのもなんとなく実感している。
その4年に1回と言うスペシャルなイベントの熱気に乗り、私は村田くんと彼行きつけのスポーツバーへ出向いた。
結果は周囲の予想を覆し、日本は勝利!
試合終了を告げるホイッスルが鳴った瞬間 —— スポーツバーが揺れる。
歓喜の声を上げ泣き出す人、肩を組んでチャント(※1)を歌い出す人達、ハイタッチで自国の勝利を称える人で溢れていた。
「日本凄いね、村田くん!!!相手チームって強豪国なんでしょう?」
「沢渡さん、そうなの!初戦でドイツに勝てたのはデカいよ〜。大袈裟じゃなくて歴史的瞬間!俺達はその瞬間に立ち合えたんだよ!!」
私は涙目になっている村田くんとハイタッチを交わした後、飲み始めていた梅酒ロックを空にした。
かなり興奮していたのだろう。そんな事をやってしまったのだ。
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※1……応援歌の事。