恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第46章 狐火の契約 / 🔥✳︎✳︎
「杏寿ろ、さ……何か…熱い」
「妖力を流し込んでいる。このままでいてくれるか」
下腹部の中心から熱さが広がっていくが、火傷をするような温度ではない。
「あ、何か気持ちよくなって来たよ」
「うむ、俺の力が君の中で上手く順応して来たようだ」
と言う事は、私妖狐になったのかな。んっ?そうだ!大事な事聞かなきゃ!
「ごめんね、今更な質問なんだけど……」
—— もう遅いかもしれないけど、と慌てて彼に声をかける。
「どうした、そんな泣きそうな顔をして」
ちう……と彼が口付けをくれ、あわあわしている私の気持ちを落ち着かせてくれる。
理由を伝えた。すると ———
「俺との子の心配、か?」
「だってまだ覚悟も全然決まってないし…今お母さんになる自信ないもん。それにとても大事な事だから……命を体に宿すって」
「そうだな、君の言う通りだ」
どうやら初めての情交は私に妖力を与えるのみになるようだ。
それを聞いた瞬間、強張っていた体の力が一気に抜けた。心も随分と楽になったように思う。
「いずれ母になるであろう君も見てみたいが……今はまだ俺だけの七瀬でいてくれ。好きだ、大好きだ」
「私もあなたが大好き、杏寿郎さん」
再び交わされる口付け、絡み合う互いの指に隙間なく重なった心と体。部屋に響くのは二箇所の入り口から漏れる芳しい水音だ。
「あ、ん、何か……変、な……かん、じ」
「そのまま……俺に身を委ねて…大丈夫、だ」
痛みが随分と和らぎ、代わりに訪れたのは —— ふわふわとした高揚感だ。
2人の体を繋げている結合部。
そこはグチュ、グチュ……と聞いているだけで体が熱くなる水音が変わらず響く。
「きょうじゅ……もう……」
「ダメだ、七瀬…俺から離れるな」
身を捩ると、彼がグッと腰を打ち付けて来た。
「ああっ……」
両の目尻から涙が出た。痛いからじゃない。
—— とてもとても、気持ち良かったから。