恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第45章 4年後の茜色へ / 🔥✳︎✳︎
「ここに印をつけれないのがな…」
七瀬の顎を持った杏寿郎は唇をつつ…と親指でなぞった。
それから柔らかい口付けを落とし、尖らせた舌でも舐める。
ほうっと息が漏れる恋人に満足した彼は、舌を唇の割れ目から侵入させ、歯列の上下を愛撫していく。
ベッドに横たわった七瀬の左頬を撫でる。杏寿郎がいつもする行為だ。彼女もまたいつも通り、自分の左手を恋人の手の上に重ねて目を閉じている。
ふと、何かを思いつく杏寿郎だ。
「七瀬」
「はい?」
名前を呼ばれた彼女の瞳がぱちっとあいた。
「ここにもつけたい」
「えっ……」
該当の箇所をそろっとなぞられた七瀬の顔が、みるみる内に赤く染まっていく。
「あの……本当にそこを?」
「ああ、ここだな」
うつぶせになっている七瀬の背中には、無数の赤い花が既にたくさん開いている。
大きな物、小さな物と様々だ。杏寿郎は腰と臀部の境目を円を描くように撫でると、まずは双方の尻に口付けを落とした。
緩やかな山のような曲線に沿って、並ぶように赤い花が舞っていく。キツく吸われる度に七瀬の体が疼いた。
『あれ……終わったのかな?』
一瞬だけ間が訪れたかと思うと、杏寿郎が動き始めた。
「んっ……や、くすぐった……」
「こら、動くな…」
ちろ……ちろと彼が愛撫しているのは後孔とも呼ばれる臀部の窪みだ。双方の丸みを帯びた尻はがっしりと大きな掌が掴んでいる。
「きょ、じょろ…さ、もう……やめ……」
「もう少しだ…」
普段の交わりでは、ほぼ触れられない箇所。
およそ5分間弱の出来事だったが、そこを丁寧に舐められた七瀬は羞恥心でいっぱいになっていた。