恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第44章 口は難し、筆は饒舌 / 🌊
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「沢渡、今日は自由が丘に行くぞ。スイーツバイキングだ」
「わかりました!男性1人だと行きにくいですもんね。じゃあ次回の主人公はスイーツ男子ですか?」
『いつになったらデートだと気づいて貰えるのだろう』
義勇は悩んでいた。
意中の相手が相変わらず作品の為の擬似デートと思っているからだ。
ふう、と1つため息をついた彼はスマホを手に持ち、ある人物にメッセージを送る。
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「おっ、見ろよ。煉獄。噂をすればだぜ」
「む?そうなのか」
天元はスマホのディスプレイを目の前の杏寿郎に向ける。それは義勇からのメッセージだった。
“恋愛の享受を頼みたい。沢渡は全く気づかない”
「告白あるのみだ!!」
「それ、俺も散々言ってんだけど……どうしようもねぇよな」
ふう、と深い息をついた天元は”派手に思いをぶちまけろ!以上!”と素早く義勇に送信した。
義勇が初めて出版したエッセイの帯にはこう記してある。
“口は難し、筆は饒舌。寡黙な著者の素顔をあなたも体感して下さい”
因みに帯に使用されている色は義勇の瞳の色と同じネイビーブルーだ。
寡黙な作家と鈍感な編集者。2人の恋物語はまだ始まらないが、杏寿郎の恋の扉はもうすぐ開く事になる。
To be continued……… →→→