恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第38章 未来へのステップ and Go! / 🌊
「向井先生、カナエ先生今日はおめでとう。この曲の振り付けは前半を俺が、後半は不死川先生が担当した」
ヘッドセットマイクをつけた義勇さんが話し始めると、振り付けのくだりを伝えた所で、おおっとどよめきが起こった。
それはそうだろう。意外すぎる組み合わせだもの。
因みに他の4人の先生方もハンズフリーになるこのヘッドセットマイクを装着している。
「練習を見てくれたある生徒に、前半後半でガラッと雰囲気が変わって面白いと言って貰えた。その辺りも楽しんでくれ」
伝える事は伝えたー
そう目線で宇髄先生に訴えた彼は、横一列に並んでいる4人の位置から少し前方に出ていた為、本来の自分の立ち位置……後方の向かって1番左側に移動する。
「ッんだよ、冨岡。それだけか? 仕方ねーくらい地味だな。ま、俺ら教師陣の渾身のダンスボーカル聴いてくれ。曲は”Dynamite” 」
フッとステージ上のライトが消える。左から義勇さん、不死川先生、宇髄先生、煉獄先生、伊黒先生が揃って同じポーズを取る。
爪先立ちにしている右足の太ももに右掌を置き、顔と目線は右斜め下に向けている。
♪〜♪
静かにサビのメロディーを引用したイントロが流れ出す。それが終わると、センターにいる宇髄先生が口パクで「BANG!」と呟きながら銃を打つ仕草をする。そして本格的に音楽がスタート。
宇髄先生のソロパートからボーカルが入る。尚、この曲は歌っているグループが世界に向けて発信したいと言うコンセプトのようで、全編英語詞だ。
♪〜
義勇さんから聞いていた通り、キレのある動きの不死川先生、ビートと一体化している宇髄先生のダンスに目を奪われる。
けれど指先まで繊細な動きをする伊黒先生と、ダイナミックに踊る煉獄先生の動きも凄い。義勇さんはと言うと——
練習をみっちりした甲斐があり、水が流れるようなしなやかな動きで踊り、時々バックコーラスとして歌う。煉獄先生はマイクを装着しているけど、声が大きすぎるのでダンスのみ。
メインで歌っているのは宇髄先生と伊黒先生だ。不死川先生はバックコーラスをしている。
観客達が自然と体を動かし、手拍子を自然とする。
宇髄先生が冒頭言ったように渾身のダンスパフォーマンスは3分40分と短めではあったけど、大盛況で幕を閉じたのだった。