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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第32章 狐に嫁入り? ① / 🔥


「ん……!!」
それからベランダに出た私の目の前が、目を開けていられないぐらいに眩しく光った。

公園にあるグローブジャングル(※1)のような大きさだった物体が、段々と人の形に姿を変えて行く。

何だろう…背が高いな…男の人??

最後は真ん中に吸い込まれるようにして、眩しい光が夜の闇に消えた。

「七瀬、10年振りだな!変わりはないか?」

「きゃ、きゃ………!!」 「黙(もく)」

目の前にいる男の人が右手の人差し指と中指を立てながらそう言った途端、私の声が出なくなった。

「………!………!」
「すまんな。今、大きな声を出されると大変困る。危害は加えない。中に入れて貰えないだろうか?」


肩まである金色の髪に、頭の左右には三角形の狐の耳。吸い込まれそうな緋色の瞳。夕暮れを思わせる茜色の直衣(のうし)。

とても目立つ外見にどこか既視感を覚えながら、私は彼の言葉に従って、部屋の中に2人で一緒に入った。



「気分は落ち着いたか?」
「(うん、うん)!!」

首を強く上下に振って訴えると、彼は先程と同じように右手人差し指と中指を立てて”喋(しゃべり)”と唱えると、はあっと言う息と同時に自分の声が気道から大きく滑り出た。


「七瀬?よもや俺の事を忘れてしまったのか?」
「え?忘れたって何?私、あなたに会った事があるの?」

無論!……そう自信たっぷりに答えた彼を思い出すまで、私は後10分程時間を要する事になる。


→→ その②に続く。



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※1…………球体の形をした回る遊具の事。


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